海外に資産をお持ちの方やオフショア保険を検討されている方やは、必ず知っておかなければならないことがあります。
日本内で資産を持つ際は、日本のルールを知っていれば良いですが、世界となると、世界のルールを知っておかなければいけません。
そこで、絶対知っておくべき今回は「FATCA」(ファトカ)と「CRS」について解説していきます。
FATCAとは

FATCAは、2010年に米国で成立された、米国の税法である外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act)の略称です。FATCAは、米国の納税義務のある方が、海外(米国以外)の金融機関の口座を利用して米国の税金を逃れることを防止するために制定されました。
FATCAはどういう制度?
FATCAは簡単に言うと、アメリカ人は他国にいても、米国に納税しないといけないので「あなたはアメリカ人ですか?」という確認です。これには「属地主義と属人主義」という問題が関係しています。
「属地主義と属人主義」については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご参考にしてください。
日本は属地主義(居住している国にて課税)ですが、米国は属人主義(保有国籍国)なのでアメリカ人は、どの国に居住していても必ずアメリカに納税するのが義務です。その為、米国の納税義務がある方が、海外に行って、税金を逃れようとするのを防ぐのがFATCAです。
なのでFATCAを導入することで、アメリカ人の口座情報を世界中から徴収しています。

FATCAに協力しない国もありますが、世界大国のアメリカに逆らうことになるので、多くの国は対応しています。日本は2013年6月11日に金融庁・財務省・国税庁がFATCAの「実施円滑化」に関する声明を出しています。
私たちもFATCAの影響を受けている



銀行口座や証券口座を開設する際に、こういったFATCAに関する声明を目にする機会があると思います。
FATCAに関するチェック項目がありますが、こちらは「あなたはアメリカ人ですか?」という質問です。アメリカ人の場合は、米国へ申告が必要なので、申告しなければいけないということになります。
CRSとは?

では続いてCRSについて解説していきます。
CRSは共通報告基準(Common Reporting Standard)の略称で、外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処する為、平成26年にOECDにおいて、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で、自動的に交換するための国際基準です。
日本を含む101ヵ国・地域が参加しています。
この基準により、行われることは以下の2点。
①自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受ける
②租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対し、その情報を提供する

CRSを簡単に言うと、CRS加盟国で海外の人が口座を開くと「○○さんが口座開きましたよ」と、情報が提供されるということです。
海外で隠し口座を持つのが難しいというのはCRSが理由なんですね!

CRSを図解

CRSに加盟している国で銀行口座等を開設すると、各国の税務当局に報告がされるので、海外で銀行口座を隠し持つということが難しくなりました。
CRS制定前は、世界のオフショア地域(税率が非常に低い地域、もしくは税率が全くかからない地域)の口座で資金を持つということが富裕層の中で行われていましたが、CRS制度開始により、銀行口座を閉じる方が増えました。
2017年からCRS適用国(2016年度から報告)49ヵ国
ケイマン諸島・英領ヴァージン諸島(BVI)・タークスカイコス諸島・マン島・セーシェル・アンギラ・リヒテンシュタイン・ガーンジー・キプロス・バーミューダ諸島・マルタ・ジャージー島・ジブラルタル・モンセラト島・フェロー諸島・英国・ドイツ・フランス・イタリア・ポーランド・チェコ・メキシコ・コロンビア・デンマーク・オランダ・韓国・ルーマニア・スペイン・スウェーデン・サンマリノ・南アフリカ・ベルギー・ポルトガル・リトアニア・ギリシャ・スロバキア共和国・インド・ルクセンブルク・ノルウェー・スロヴェニア・ハンガリー・ラトビア・アルゼンチン・クロアチア・エストニア・アイスランド・アイルランド・ブルガリア・フィンランド
2018年からCRS適用国(2017年度から報告)51ヵ国
香港・シンガポール・マカオ・バナマ・スイス・バヌアツ・バハマ・ベリーズ・インドネシア・ニウェ・クック諸島・アンドラ・コスタリカ・モナコ・モーリシャス・バーレーン・サモア・アンティグアバーブーダ・グレナダ・マーシャル諸島・セントルシア・ナウル・日本・カタール・アラブ首長国連邦・ロシア・中国・ブラジル・カナダ・チリ・オーストラリア・マレーシア・ニュージーランド・サウジアラビア・アゼルバイジャン・オーストリア・ウルグアイ・イスラエル・パキスタン・トルコ・レバノン・アルーバ・セントキッツネイビス連邦・バルバドス・シントマールテン・ブルネイダルサラーム・キュラソー島・ドミニカ・グリーンランド・トリニダードトバゴ・セントビンセントグレナディーン
2019年からCRS適用国(2018年度から報告)
ガーナ・クウェート
2020年からCRS適用国(2019年度から報告)
ナイジェリア・オマーン・ペルー
2021年からCRS適用国(2020年度から報告)
エクアドル・カザフスタン・モルディブ・アルバニア
2022年からCRS適用国(2021年度から報告)
ケニア・モロッコ
2023年からCRS適用国(2022年度から報告)
ジョージア・ヨルダン・モンテネグロ・ウガンダ・タイ

太線の国は過去にオフショアで有名だった国・地域です。CRSによって各国の銀行口座を閉じる方が増えたと言われています。
FATCAとCRSの1番重要なポイント

それは、お気づきの方もいるかもしれませんが…
米国はCRSに不参加という点です!
米国はFATCAにより各国からアメリカ人の情報収集が可能なため、米国の情報は他国に出さないですよ!ということです。

米国強すぎる…!!
まとめ

FATCAとCRSにより各国の口座開設情報が報告されることとなりましたが、FATCAは各国の米国への情報提供であり、CRSに米国は不参加なので、世界のマネーは米国に集まる構図がさらに強くなりました。
FATCA不参加の国もありますが、FATCAに不参加するということは世界経済大国の米国に背くということなので、現状主要国家はFATCAに加盟しています。
私たちも知らず知らずのうちにFATCAの影響を受けているので、ぜひ知っておきたい制度です。
